失業保険(雇用保険の基本手当)の受給において、避けては通れないのが「失業保険の認定日」です。これは、あなたが失業状態にあることをハローワークに認めてもらうための重要な日で、この手続きを怠ると失業手当を受け取ることができなくなってしまいます。
「認定日って具体的に何をするの?」「どんな準備が必要?」「もし行けなくなったらどうしよう?」といった不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、失業保険の認定日に関する手続きの流れ、必要な期間、当日の持ち物、そして万が一の際の対処法まで、網羅的に解説します。この記事を読めば、安心して認定日を迎え、確実に失業手当を受け取るための知識が身につきます。
失業保険の認定日までの期間は?
失業保険の受給手続きを始めてから、最初の認定日までは一定の期間があります。まずは、その基本的な流れと、認定日までにやっておくべきことを確認しましょう。
失業認定の基本的な流れ
失業保険の認定日は、離職理由や手続きのタイミングによってスケジュールが異なりますが、大まかな流れは以下の通りです。
- 離職・離職票の受け取り: 会社から離職票を受け取ります。
- ハローワークで求職申込み・受給資格の決定: 住所地を管轄するハローワークへ行き、求職の申込みと受給資格の決定手続きを行います。この日に「雇用保険受給資格者のしおり」が渡され、次に来所する「雇用保険説明会」の日時が伝えられます。
- 待期期間(7日間): 受給資格が決定した日から通算して7日間は、失業保険が支給されない「待期期間」となります。この期間は、自己都合退職でも会社都合退職でも、全ての人に適用されます。
- 雇用保険説明会: 指定された日時に説明会に参加します。ここで「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡され、第1回目の失業認定日が知らされます。
- 第1回失業認定日: 指定された日時にハローワークへ行き、最初の失業認定を受けます。
- 以降、4週間に1回の認定日: 原則として、その後は4週間に1回のペースで認定日が設定され、失業状態の確認と求職活動の実績報告を繰り返します。
注意点:給付制限期間
自己都合で退職した場合や懲戒解雇された場合などは、7日間の待期期間満了後、さらに原則として2ヶ月(過去5年以内に2回以上の自己都合退職がある場合は3ヶ月)の「給付制限期間」が設けられます。この期間中は失業保険が支給されませんが、期間中も4週間に1度の認定日にハローワークへ行き、失業の認定を受ける必要があります。
認定日までに必要な求職活動
失業保険は、「働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態」にある人に支給されるものです。そのため、認定を受けるには「積極的に求職活動を行っている」という実績が不可欠です。
原則として、前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上(給付制限期間がある場合は、待期期間満了後から最初の認定日までは1回)の求職活動実績が必要です。
求職活動として認められる活動の例:
- 求人への応募(面接、書類選考など)
- ハローワークでの職業相談、職業紹介
- ハローワークなどが実施するセミナーや講習の受講
- 許可・届出のある民間職業紹介機関や労働者派遣機関での相談や求職登録
- 公的機関(独立行政法人など)が実施する職業相談やセミナーへの参加
- 再就職に資する国家試験や検定等の受験
注意:求職活動として認められない例
- ハローワークや新聞、インターネットで求人情報を閲覧しただけ
- 知人に就職先の紹介を依頼しただけ
単に求人情報を眺めているだけでは実績とは見なされません。応募や相談といった具体的な行動を起こすことが重要です。
失業保険の認定日当日の持ち物・手続き
認定日当日は、必要な持ち物を持って指定された時間にハローワークへ行きます。スムーズに手続きを終えるために、事前に準備しておきましょう。
持ち物リスト
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書(事前に記入しておく)
- 印鑑(シャチハタ不可。訂正時に使用)
- その他、ハローワークから指示された書類(ある場合)
雇用保険受給資格者証の確認
これはあなたの受給資格を証明する重要な書類です。認定日当日の来所日時もこの証書に記載されていますので、必ず確認しましょう。
失業認定申告書の記入
失業認定申告書は、認定対象期間中に「就労や内職・手伝いをしたか」「求職活動を行ったか」などを自己申告するための書類です。
事実を正直に記入することが非常に重要です。もし収入を得た日があるにもかかわらず申告しなかったり、求職活動をしていないのにしたと偽ったりすると、不正受給と見なされ、厳しいペナルティ(支給停止、受給額の3倍返還など)が科される可能性があります。
書き方に不明な点があれば、空欄のまま持参し、当日ハローワークの職員に質問しながら記入しましょう。
認定日当日の具体的な流れ
- 受付: ハローワークに到着したら、指定された窓口に「雇用保険受給資格者証」と記入済みの「失業認定申告書」を提出します。
- 内容の確認: 職員が申告書の内容を確認します。求職活動の実績や、就労の有無などについて質問されることもあります。
- 認定・次回の案内: 内容に問題がなければ、失業の認定が行われます。職員が「雇用保険受給資格者証」に今回の認定スタンプを押し、次回の認定日を記載して返却してくれます。
- 手続き終了: これで当日の手続きは完了です。混雑状況にもよりますが、通常は30分程度で終わることが多いです。
失業保険の認定日にハローワークへ行けない場合
原則として、認定日には本人が指定された日時にハローワークへ行く必要があります。しかし、やむを得ない理由でどうしても行けない場合はどうすればよいのでしょうか。
認定日にいけない理由と対応
「やむを得ない理由」と認められれば、認定日を変更してもらえることがあります。しかし、理由によっては認められず、その期間の失業手当が受け取れなくなる(不認定)場合もあるため注意が必要です。
| 理由 | 対応 | 必要な証明書(例) |
|---|---|---|
| 病気や怪我 | 認定日の変更が可能 | 医師の診断書や証明書 |
| 就職活動の面接など | 認定日の変更が可能 | 面接証明書、採用試験の通知など |
| ハローワークが指示した職業訓練 | 認定日の変更が可能 | 受講証明書など |
| 親族の看護、結婚式など | 認定日の変更が可能(要相談) | 会葬礼状、診断書など |
| 私的な旅行や帰省 | 変更不可(不認定) | – |
病気や怪我でいけない場合
14日以内の病気や怪我であれば、治癒後に証明書を提出することで認定を受けられる場合があります。15日以上にわたって職業に就くことができない場合は、「傷病手当」の支給対象に切り替わる可能性がありますので、速やかにハローワークに相談しましょう。
旅行や帰省でいけない場合
個人の都合による旅行や帰省は「やむを得ない理由」とは認められません。この場合、指定の認定日に行かなければその認定期間分は「不認定」となり、失業保険は支給されません。
職業訓練校や就職が決まっている場合
企業の採用面接や、ハローワークが指示した講習・訓練などで認定日に行けない場合は、「求職活動の一環」として認められるため、証明書を提出すれば認定日の変更が可能です。
また、就職が決まった場合も、認定日にハローワークへ行き、その旨を報告する必要があります(就職日の前日に来所を指示される場合もあります)。
事前連絡の重要性
いかなる理由であれ、認定日に行けないことが分かった時点で、必ず管轄のハローワークに電話で連絡してください。無断で欠席すると、失業保険の支給が止められてしまう可能性があります。
連絡先は「雇用保険受給資格者証」に記載されています。まずは電話で状況を説明し、職員の指示に従いましょう。
失業保険の認定日から振込までの期間
無事に失業の認定を受けると、指定した金融機関の口座に失業手当が振り込まれます。
振込までの一般的な日数
認定日からおおよそ5営業日前後で振り込まれるのが一般的です。ただし、ハローワークや金融機関の処理状況によって多少前後することがあります。
振込が遅れるケース
- 土日祝日や年末年始を挟む場合: 金融機関が休業日のため、その分振込が後ろ倒しになります。
- 初回の振込: 待期期間や給付制限があるため、支給対象日数が少なかったり、振込自体が次の認定日以降になったりすることがあります。
- 申告内容に確認が必要な場合: 失業認定申告書の内容に不明な点があり、確認に時間がかかると振込が遅れることがあります。
失業保険の認定日に関するよくある質問
失業保険の認定日はどうやって決まる?
認定日は、ハローワークがあなたの受給資格を決定した曜日に基づいて、機械的に割り振られます。原則として4週間に一度、同じ曜日に設定されることが多いです。個人の都合で自由に日時を選ぶことはできません。
失業保険の認定日当日の時間は?
ハローワークの混雑を避けるため、来所時間が指定されています。指定された時間は「雇用保険受給資格者証」の表面に記載されていますので、必ず確認し、その時間に合わせて来所しましょう。
失業保険の認定日自動計算は可能?
インターネット上には認定日をシミュレーションできるサイトもありますが、それらはあくまで目安です。正式な認定日は、必ずハローワークから交付される「雇用保険受給資格者証」に記載された日付で確認してください。自己判断で日程を間違えないようにしましょう。
2回目の認定日には何が必要?
持ち物は初回と同様、「雇用保険受給資格者証」と記入済みの「失業認定申告書」です。
ただし、初回認定日以降は原則として2回以上の求職活動実績が必要になる点が大きな違いです。1回でも実績が足りないと、失業保険が支給されない可能性がありますので、計画的に求職活動を進めましょう。
*免責事項: 本記事は失業保険(雇用保険)に関する一般的な情報を提供するものであり、個別の状況に対するアドバイスではありません。制度の詳細は変更される可能性があるため、最新かつ正確な情報については、必ずご自身の住所地を管轄するハローワークにご確認ください。
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